天龍寺

丸子町西内:宇佐美 正光 住職
〔連載第91回〕

 丸子町西内の「天龍寺」は鹿教湯温泉の入口にある。創建は江戸時代初期、本尊は釈迦牟陀仏。「文殊堂」の別当として開基した。

文殊堂(長野県宝)
 現在「天龍寺」に属している「文殊堂」には観光客ら大勢の参拝者が訪れている。
 創立は行基の弟子・園行と伝えられている。堂を建立した当時の記録によると元禄十四年(1701)に着工し、宝永六年(1709)に完成した。当初は正面、側面とも柱四本の正方形の建物だったが後に下屋庇を付けたので、現在、側面の柱は五本になっている。屋根は胴板ぶき(かつてはこけら葺き)入母屋造で正面中央の向拝(登り口で拝む所)ふきんや四囲の欄間などに多くの彫刻が施されており、柱・組物など鮮やかに色が塗られている。また、天井にも絵が描かれ装飾ゆたかな建物となっている。
 江戸時代中期、元禄時代の仏堂の作風を明瞭に示す県内有数の建物。
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