霊泉寺

丸子町平井:上野 孝賢 住職
〔連載第86回〕

 丸子町平井の「霊泉寺」は霊泉寺温泉の入口にある。創建は安和元年。その後、弘安元年(1278)平頼臣繁有を開基に霊峰源興禅師を開山として臨済宗建長寺の末寺として再建。
 その後、天正二年(1574)に武田信玄の助力により高井郡谷厳寺魯庵俊誉禅師を中興の開山として復興、曹洞宗の寺となった。また、本堂西側には阿弥陀堂がある。本尊の阿弥陀如来は鎌倉末期の作といわれ県宝に指定されている。
霊泉寺温泉の由来
 昔、平維茂が独鈷山で鹿狩りの折り、紅葉狩りをしていた美女に呼び止められ酒を勧められた。酔ってうたたねをしていると夢に白山大権現が現れて「おまえの相手をしているのは鬼女だ」とお告げがあったため間一髪で鬼を退治した。そして、この地で温泉を見つけ、湯を浴びるとたちまち元気になったので白山神社と寺を建立した。寺僧が浴場を作って人々に入湯させたところ霊泉の効き目が素晴らしかったため寺号を「金剛山霊泉寺」と名つけた。その後、温泉は寺湯として数百年続き以後、寺を離れ近在近郷の人達の湯地場となった。
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