瀧仙寺

青木村下奈良本:堀内直文住職
〔連載第71回〕

 青木村下奈良本、沓掛温泉に行く手前を入った小高い山にある瀧仙寺。周囲を大きな樹木が囲み、落ち着いた雰囲気が心地よい。
 同寺の起源は古く、七百数十年前にさかのぼる。現在地から少し奥の滝山(たきやま)に寺の前身寺があった。現在の寺は約四百年前に建てられたもので一度も火災に遭わなかったため当時のままの形で建っている。開基は真田氏の家臣、池田出雲守。本堂の屋根に家紋「三ッ蝶」が付いている。

【仁王門】
 寺の入口にある仁王門は前身寺にあったのを移してきたもので、元の寺の本堂を向いて建っている。中に建つ二体の仁王像は今なお当時の色が少し残っていて堂々とした体躯に圧倒される。この仁王門は長野市の善光寺のモデルになったと伝えられている。

【六地蔵】
 寺の入口にある六地蔵は宝暦年間に作られたもので宿場で働く女性たちがお金を寄せ合って作ったもの。

【義民の墓】
 青木村は百姓一揆のメッカ。同寺にも義民・増田与平衛を葬る墓がある。与平衛一家が眠っている。
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