自性院

真田町大字長:赤木宣昭住職
〔連載第53回〕

 真田町本原の寶珠山自性院は上田市蒼久保、龍洞院の末寺。永正十七年、村上義清の父、村上顕国が堂宇を建てて開基、文録二年に龍洞院三世の底山元徹大和尚が開山となった。村上氏ゆかりの人が代々庵を守ってきたと伝えられている。
 自性院は四百七十年以上の長い歴史の中で一度も火災に遭っていない。木造の本堂は、役二百年前に立て替えたもの。
 本堂の鬼子は派神は、文政年間にこの地に疫病が広がり多くの幼い命が失われたのに心を痛めた庄屋、清水勝英が疫病鎮静と安産、子供の健やかな成育を祈願して奉納した。境内に堂を建立し、供養したところ、疫病が治まったと伝えられている。戦後、堂が朽ち果てたため本堂の本尊脇に移されたが、昭和六十二年に厨子に安置され、間近で拝観できるようになった。安産や子供の成長祈願に多くの人が訪れている。
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