西光寺
上田市富士山:西川秀伸住職
〔連載第30回〕

 上田市富士山の西光寺は今から六百九十年前、当時の塩田城主、北条睦奥入道道祐が開基となり足利の鶏足寺から実勝僧正を迎えて開山した。
 伝説では弘法大師が巡歴の折、字名(あざめい)が寺にゆかりのある山門寺ということでこの地に足を止めた。立派な僧がお見えになったので年寄りが「仏像を彫刻してほしい」と頼むと阿弥陀如来と大日如来の二体の仏像を彫ってくれた。この仏像を安置したのが現在の阿弥陀堂の前身という。
 脇堂としての阿弥陀堂【写真右】は室町時代中期〜後期の建築といわれ、昭和五十六年には県宝に指定され、平成二年には改修工事も行われた。間口三間、奥行き四間のこじんまりとしたお堂で、前面の一間は吹放(ふきはなち)の拝所になっている。
 柱の上部は細い丸みのあるチマキと呼ばれる部分があり、台輪、組物など禅宗様式の特徴がある。  錘の先端に反り増しがある点など随所に中世の型式がみられる。
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