法善寺

東部町常田:清水要晃住職
〔連載第20回〕

 日蓮宗・法善寺は静岡県の法善寺から明治二十八年に移転された。静岡県の法善寺は天和元年覚円院日性上人が創建した。明治初年に篤信者が、当地に新寺建立を願い移転再興となった。
 寺の境内は広々として清々しく、裏側はクヌギなどの雑木林が寺を守るように立っている。参道入口には島木赤彦の歌碑がある。赤彦は大正十三年に同寺に宿泊し「七月に入りて雪ある遠き山 山門外に出で立ち見れば」と同寺を詠んでいる。また、歌碑の横には珍しい緑黄色の八重桜御衣黄桜(ぎょえこう)がある。そして寺内の欄間には丸山晩霞が描いた釈迦八相の絵がある。この絵は三十日間もかかった逸画といわれる。
 清水住職は年に十回ほどの"法善寺だより"を発行、寺と壇家の交流を図っている。
backnext