常楽寺

上田市別所温泉:半田孝淳住職
〔連載第15回〕

 板絵絵馬「三浦屋の図」
常楽寺は天長二年(八二五年)北向観世音堂の創建の時、三楽寺の一つとして建立された。鎌倉時代にはすでに天台教学の道場としてまた信仰の霊場であった。
 寺の境内には美術館があり、仏画、歴史的瓦、仏像、絵画など多くの美術品を収容して一般に公開している。
 「三浦屋の図」は華やかな遊里風俗を浮世絵風に書いたもので江戸の新吉原遊廓の中でも最も格式の高い三浦屋の店頭の光景を鮮やかに描いた作品で有賀常近の筆による。彼は当時の鳥居派に属していたと推察される。この絵馬は享保十五年八月に北向観音堂へ泰献されたもの。
 泰納者は今の上田市海野町の人々で、絵馬の裏面には小林庄左衛門など十名の名が見られる。国の重要美術品に指定されている。
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